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M&Aアドバイザーの年収は?固定給・インセンティブの実態と転職1年目のリアルを公開

「M&Aアドバイザーって本当に稼げるの?」「未経験でも転職できる?」——この記事では、複数のM&A仲介会社での実務経験をもとに、固定給・インセンティブの実数値から1年目のきつさまで、他では書けないリアルな情報を包み隠さず公開します。

現役アドバイザーの実数値
360万円〜
固定給(年収)
入社時の目安
400万〜
1億
インセンティブ
1件の成功報酬
100〜150h
月の残業時間
平均的なイメージ

M&Aアドバイザーの年収構造:固定給とインセンティブの仕組み

M&Aアドバイザーの年収は「固定給+インセンティブ」の2本柱で構成されています。この仕組みを理解せずに転職すると、入社後に「思っていた年収と違う」というギャップが生まれます。

固定給は意外と低い

まず知っておくべきは、M&Aアドバイザーの固定給は一般的なビジネスパーソンと比べて決して高くないという事実です。大手M&A仲介会社への転職組の場合、入社時の固定給は年収ベースで300〜450万円程度が相場です。前職が銀行や大手企業だった場合、転職直後に年収が下がるケースも珍しくありません。

固定給が低く設定されている理由は明確で、会社側が「インセンティブで稼いでほしい」という設計にしているからです。成果主義を徹底した報酬体系と言えます。

インセンティブが年収の主役

M&Aアドバイザーの真の収入源はインセンティブです。M&A成約時に発生する成功報酬の一部がアドバイザーに還元される仕組みで、1件の案件で数百万〜数千万円のインセンティブが入ることもあります。

ただし、インセンティブは「成約した場合のみ」発生します。どれだけ努力しても成約しなければゼロです。この点が固定給制の仕事と根本的に異なります。

インセンティブの計算イメージ

例:企業価値5億円のM&A案件(手数料率5%の場合)→ 成功報酬2,500万円。このうちアドバイザーへの還元率が20%なら、1件で500万円のインセンティブになります。案件規模と還元率は会社によって異なります。

転職前に絶対確認すべき3つの仕組み

求人票や面接では説明されないことが多く、入社後に「思っていた報酬と違う」という原因になりやすい重要な仕組みが3つあります。

①インクルードあり(include型)とは、インセンティブが発生した場合に「固定給を超えた分だけ」支給される仕組みです。還元率20%のインセンティブが発生しても、その20%のうち固定給相当額が差し引かれ、残りの分だけが実際の手取りとして支給されます。

インクルード型の具体例

固定給360万円・インセンティブ還元率20%の会社で、手数料3,000万円の案件を成約した場合。還元額は600万円(3,000万円×20%)。しかしインクルード型の場合、固定給360万円分が差し引かれ、実際の追加支給は240万円になります。インクルードなしなら600万円がそのまま支給されます。

②クレジット(繰越制度)とは、1年以内に成約できなかった場合に、その年の固定給分を翌年度のインセンティブから差し引く仕組みです。1年目に成約ゼロで固定給360万円分のコストが発生すると、翌年に成約してもその360万円分が差し引かれてから支給されます。インクルードの未消化分を翌年に繰り越すイメージです。会社によってクレジットの仕組みは異なるため、必ず事前確認が必要です。

クレジットが積み上がるリスク

1年目・2年目と成約できない場合、クレジット(繰越額)がどんどん積み上がります。3年目にようやく大型案件を成約しても、過去2年分の固定給が差し引かれてからの支給になるケースもあります。これがM&A業界の離職率が高い構造的な理由の一つです。

③上司・チームとのインセンティブ分配も見落としがちです。特に入社1〜2年目は、上司や先輩が案件に同行・サポートすることが多く、その場合インセンティブを上司と分け合う形になります。「自分の案件なのに半分しかもらえない」というケースも珍しくなく、実質的な手取りが想定より大幅に下がることがあります。

転職前に必ず確認する4点

①インクルード型かどうか(固定給が差し引かれるか)、②クレジット制度の有無(未消化分の翌年繰越があるか)、③上司・チームとのインセンティブ分配ルール、④インセンティブの支払いタイミング(成約時一括か分割か)。面接で直接聞くか、M&A特化型エージェント経由で事前に確認することを強くおすすめします。

実際の数字:固定給360〜420万円、インセンティブは400万〜1億円

具体的な数字を公開します。複数のM&A仲介会社での経験をもとにした実数値です。

固定給の実態

転職1社目(中堅M&A仲介会社)の固定給は年収360万円でした。月収換算で30万円です。東京で働くビジネスパーソンとして決して余裕のある水準ではありません。

転職2社目(別のM&A仲介会社)では年収420万円に上がりましたが、それでも前職比較では「年収ダウン転職」に分類されるレベルです。M&A業界への転職を考えている方は、入社直後の固定給が想定より低いことを事前に覚悟しておく必要があります。

転職前に必ず確認すること

求人票に記載された「想定年収」はインセンティブを含んだ上限値であることがほとんどです。「固定給はいくらですか?」と面接で必ず確認してください。固定給300万円台でも求人票に「年収1,000万円以上も可能」と書いてある場合があります。

インセンティブの振れ幅は想像以上に大きい

インセンティブの実態として、1件あたり400万円〜1億円という幅があります。この幅が大きすぎると感じるかもしれませんが、これが現実です。

400万円は比較的小規模な案件(手数料4,000〜5,000万円規模)での還元額、1億円は大型案件での還元額のイメージです。アドバイザー1人で複数案件を同時進行させ、年間に複数件成約できれば、年収数千万円に達することも現実的にあります。

一方で、1年間1件も成約できずにインセンティブゼロという年もあります。固定給だけで生活できるよう、転職前に貯蓄を作っておくことが重要です。

1年目の成約率の現実:50%以下が退職前に手数料4,000〜5,000万円規模の案件を成約できない

M&A転職を検討している人が最も知っておくべき現実がこれです。

「1年以内に1件成約」は思ったより難しい

M&Aの案件は「足が長い」という特徴があります。売り手との契約締結から買い手探し、デューデリジェンス、最終契約まで、短くても3〜6ヶ月、長ければ1〜2年かかることもあります。

私自身は入社1年以内に成約を経験しましたが、これは珍しいケースです。退職者も含めた全体で見ると、1年以内に手数料4,000〜5,000万円規模の案件を1件成約できる人は50%以下というのが実感です。

離職率の高さは業界の構造的問題

M&A仲介業界は離職率が高いことで知られています。「成約できなければインセンティブゼロ」という報酬体系と、案件の足の長さが組み合わさることで、固定給だけで生活しながら成約を待つことに耐えられず離職するケースが多い。「入社1〜2年で辞める人が多い」は業界の常識です。

それでも続けられる人の特徴

離職率が高い中でも成果を出し続けているアドバイザーには共通点があります。①圧倒的な行動量(新規開拓の手を止めない)、②案件が長期化しても精神的に安定している、③経営者との信頼関係構築が得意、の3点です。

残業時間と働き方:月100〜150時間残業の実態

M&Aアドバイザーの働き方について、正直に書きます。

残業時間の実態

月の残業時間は平均100〜150時間が目安です。多い月で200時間、少ない月で80時間程度と幅はありますが、「ワークライフバランスが取れる仕事」ではありません。

ただし、これには注意点があります。移動時間が多い仕事のため、「電車・新幹線での移動中は実質的に休憩」と感じるアドバイザーも多く、実働時間が残業時間ほどには感じないというケースもあります。

ワークライフバランスが取れる会社も存在する

一部のM&A仲介会社では、業務プロセスの効率化やノルマ設定の見直しにより、比較的ワークライフバランスが取りやすい環境を作っているところもあります。転職前に社員の口コミ(OpenWork等)を必ず確認することをおすすめします。

家族・パートナーへの影響を事前に話し合うべき

残業100〜150時間は、家族やパートナーとの生活に大きな影響を与えます。特に結婚・育児を考えている方は、転職前に必ずパートナーと「この働き方で生活できるか」を具体的に話し合ってください。転職後に家庭不和になるケースは少なくありません。

未経験からM&Aに転職できた理由:営業実績と「懐に入る力」

私自身は不動産業界(マンション用地仕入れ)からM&A業界に転職しました。M&Aの実務経験はゼロでしたが、転職に成功した理由を分析すると2点に絞られます。

①上位数%の営業実績

前職での営業実績が「誰よりも営業ができる」という自信の裏付けになっていました。M&Aアドバイザーは本質的に営業職です。「数字を出せる人間か」を面接官は見ています。

具体的な実績数字(達成率・順位・受賞歴など)を持っている人は、業界未経験でも評価される可能性が高いです。逆に営業実績が平均以下の場合は、M&A転職のハードルが上がります。

②懐に入る力(ラポール形成力)

不動産の土地仕入れ営業で最も鍛えられたのが「地主・地権者の懐に入る力」です。相手が警戒している状態から信頼関係を構築し、最終的に大きな意思決定をしてもらう——これはM&Aアドバイザーが経営者に対して行うことと本質的に同じです。

この経験を面接で具体的なエピソードとして話したことが、採用担当者に刺さりました。「M&Aの知識はゼロだが、経営者との信頼関係構築は絶対できる」という確信が伝わったと思います。

「M&Aの知識は入社後に学べる。でも経営者と信頼関係を作れるかどうかは、その人の本質的な能力。未経験でも関係ない。」

— 転職先の面接官の言葉(記憶ベース)

転職活動の進め方:受けた6社と面接対策

最初の転職活動では大手〜中堅6社を受験

私の1回目の転職活動では、事業承継・M&A無料相談・ストライク・MM&AキャピタルパートナーズA転職エージェント・M&A総研・中堅仲介会社を含む計6社を受験しました。各社で選考の特徴が異なります。

M&A特化型エージェントの活用を強くおすすめ

M&A業界への転職には、M&A特化型の転職エージェントを使うことを強くおすすめします。理由は明確で、各社の選考で聞かれる質問集を持っているからです。

一般的な転職エージェントでは入手できない「この会社はこういう質問をする」という情報を持っているM&A特化エージェントを使うと、面接対策の質が格段に上がります。

面接の特徴:会社によって軸が違う

各社の面接で聞かれる内容には傾向があります。将来のビジョン・キャリアプランを深掘りする会社、過去の実績・行動パターンを細かく聞く会社、論理的思考力をケース問題で測る会社など、スタイルはバラバラです。

対策として、「将来どうなりたいか(Will)」「何ができるか(Can)」「何をやってきたか(Must)」の3軸を整理しておくと、どのタイプの面接にも対応できます。

面接で絶対に準備すること

①過去の営業実績(具体的な数字・順位)、②なぜM&Aか(ファイナンスへの興味だけでなく、経営者支援への想い)、③5年後のキャリアビジョン、の3点は必ず具体的に答えられるよう準備してください。

M&A転職を検討している人へ:今はレッドオーシャン、それでも挑戦すべきか

率直に言います。今のM&A仲介業界は、5年前と比べて明らかに競争が激しくなっています。

業界がレッドオーシャン化している現実

M&Aアドバイザーの人気職化が進んだ結果、業界に参入する人材が増えました。同時に、大手各社が採用を拡大してきたため、アドバイザー1人当たりが担当できる良質な案件数が減少しています。「M&Aアドバイザーになれば稼げる」という時代は、少なくとも「誰でも稼げる」という意味では終わっています。

それでもM&A転職に価値がある人の条件

以下の条件に当てはまる人は、厳しい環境でも結果を出せる可能性が高いです。

逆に「年収を上げたいから」「M&Aが流行っているから」という理由だけで転職すると、1〜2年で離職するリスクが高いです。

まとめ:M&Aアドバイザーに向いている人・向いていない人

最後に整理します。

向いている人

向いていない人

M&Aアドバイザーは「高リスク・高リターン」の仕事です。厳しい現実を理解した上で挑戦する人を、私は応援したいと思っています。転職を検討している方は、ぜひM&A特化型エージェントに相談した上で判断してください。

JP
JP NEXT 編集部
不動産仕入営業出身 / M&Aアドバイザー実務経験者

不動産仕入営業を経て、M&A業界に転職。10社以上の選考経験をもとに、転職希望者に向けた実務情報を発信しています。

比較
事業承継・M&A無料相談・ストライク・M&A総研を比較|手数料・実績・特徴の違い
算定
中小企業の企業価値算定|M&Aアドバイザーが実務で使う3つの手法

M&A転職を本格検討する方へ

まずは各社の選考情報を持つM&A特化エージェントへの相談と、業界理解を深めるコラムの読み込みをおすすめします。

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